#14 あとは、沈黙。
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<こう見えても体は柔らかいのよアタシ。鏡さえあれば背中もイケルわぁ…>
艶っぽい低い声に眉根を寄せ、暗い室内を透かす。
「ニュース見てるか?」
が、なんとなくほっそりしたシルエットがかろうじて見えるだけだ。
<芸術に理解のない世界になんて興味はないのよ。>
<ふふっ>と続いた笑い声が背筋を這い上がり、思わず隣に立つ朱ちゃんのジャンパーを握る。
「この死体に類似性のある作品を探している。」
そう言って狡噛さんが投影した二枚の写真は勿論、件の猟奇殺人の犠牲者のものだ。
「絵画、彫刻、映像…漫画文芸作品でも構わない。」
<あぁ~らぁ、イイ出来じゃなあい。>
のそりと動いた影に口を引き結び、あいている方の手に触れたものを握る。
<王陵牢一のアートそのまんま。>
「…知ってるか?」
「あ、いえ」と答える朱ちゃんの声を聞きながら、無言で首を横に振って同じく無知を示す。
<はぁ…王陵牢一の名前も残らないなんて。昔は例え有害指定喰らっても?誰かがネットのアーカイブで保護したもんだけどねぇ……そういう根性のある子はもういないのー。>
「そんな奴は、お前と一緒に塀の中さ。シビュラシステム様々だ。」
<冷たいのね、コウちゃん。>
近づいてくる人影に、朱ちゃんが短く息を呑む。
遅いって。