#14 あとは、沈黙。
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窓外を流れていく全ての色が、ぼやけて見える。
まるで霞が、かかったように。
枠の向こうの、ぼやけた極彩色。
物悲しく退廃的な風景はでも安寧を抱いて、しっかりとそこに在る。
「空、かなり暗くなってきましたね。」
「ああ。」
ヘッドボードに預けていた頭を少し動かし、視線を上向ける。
今夜は多分、とても静かだ。
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「ここは…」
車のドアを閉め、正面ゲートを見やる。
[所沢矯正保護センター]と明記されたそれに知らず目を細め、襟元をかき合わせる。
「来るのは初めてか?」
「はい。」
「ま、足を運ぶ理由もないか。」
背後で交わされる会話を聞きながら、施設を見上げる。
まるで空っぽの棺桶のように静かで無気質で、無意味な、それを。
「アンタらやギノから役立たずだと判断されたら、俺はここに放り込まれて二度と出てこられなくなる。」
と、肩にかかった重みすらどこか曖昧で。
何故だろう
「…いつまで寝てんだ。」
『起きてます。』
振り返ることなくそう言い、足を踏み出す。
とても、居心地が悪い。