#14 あとは、沈黙。
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彩られた爪先に向けて呟かれた言葉に唖然とするうち、知らず指先が重さを感じ取り、灰皿を探す。
「…それは芸術家を目指している人間にとって、致命的な欠点に成り得るもの…」
『……オリジナリティ。』
少しの逡巡を経て告げられたその単語を、微かに眉を寄せた常守が繰り返す。
「ああ。こんな手間をかけたコロシなのに、犯人の指標が薄い…少なくとも俺には感じられない。藤間幸三郎にとって殺人はただの素材の下準備でしかなかった…そこまでは今回も共通だ。」
『だけどそこから先は…死体の作風、スタイルがまるで違う。』
背伸びして覗き込む常守に見やすいよう、ピックアップした情報を順に、まとめていく。
「見えてくるのは…全く別の犯人像だ。知能が高く、シビュラ判定では高収入の職業を割り当てられている。しかしかなり若い、もしくは精神年齢が低い人物…死体を性的に侮辱する要素の少ないことから幼児期の虐待は受けていないと推測できる。」
「これは…?」
「プロファイリングもどき。――監視官。」
興味深げに画面を覗き込む常守から目を離し、ついでにタバコも放す。
「外出許可を申請する。」
満足げに自分のこの小一時間の成果を見やっていた顔が、心底嫌そうなものに変わる。
『えー、朱ちゃんと二人でどうぞー。』
「ええっ、駄目だってば!私、光ちゃんからも目離さないように言われてるんだよ?」
声を大きくする常守と未だ座したままの佐々山の間を通りすぎ、両手を伸ばす。
『何もしないから。』
「…それもどうなの。」
戻る道すがらそれぞれの頭に掴んだ揃いのジャンパーを落とし、振り返る。
「行くぞ。」
「『………。』」