#14 あとは、沈黙。
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ぽかんとこちらを見上げていたその顔が突如として、凶悪なモノに変わる。
『な……何ですかその目わっ』
くるりと椅子ごと回転した体に思わず身を引いた瞬間。
避けようという努力は実らず突き飛ばされるが、丸めた背中はきちんとした感触に受け止められた。
視界の端に映り込んだ綺麗なマニキュアが派手に揺れるのを見て、慌てて手を伸ばす。
睨んだ先で未だタバコを銜えるその目が伏せられ、また一息。
「……佐々山の殺され方もそうだが、あの時の犯人は殺し方や死体の飾り方に何らかの意味合いを持たせようとしている節があった。」
そのまま立ち上がる様を見ながら、腕を組む。
「被害者は4人。死体が発見された場所は…ホログラフイルミネーションの裏側、高級料亭、動物園、アイドルがライブ用に組んだステージの真上……しかし今回は2件続けて公園だ。」
風に乗って流れる紫煙に目を細め、その唇の動きを先読みする。
『「舞台設定に芸が無い。」』
「………」
こちらを振り向いたその顔に哂い、朱ちゃんを振り仰ぐ。
『どっちが早かったー?』
「うえ…?」
予想外の問いに予想通りうろたえる朱ちゃんに笑い、再び腕を組む。
『今回の2件からは、歪んだユーモアやメッセージ性も感じない……まあ個人的にはどっちもただグロくてキモい胸糞悪くなる系ってだけですが。まだ未完成な少女を題材とした、狂気を感じさせる程に美しく、悪魔的な作風…』
乾いた爪を光に翳し、確かめる。
『しかし何かが欠けている…と。』