#13 紫蘭の花言葉
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「………」
黙々と料理を口に運ぶ様を見ながら、缶ビールに口をつける。
「本気で今日、自宅に戻るつもりか?」
そう問いかけると心底うんざりしたような顔を向けられ、眉間に皺が寄るのがわかった。
『逆に聞きますけど、本気で今日私を家に帰さないつもりですか?』
「……その言い方は、おかしいんじゃないかお前……」
驚いたように大きな瞳を瞬かせて見上げてくるのに、思わず声を荒げる。
「顔が割れてるんだぞ?もっとビビるだろ普通…!」
『は?めっちゃビビってますよ。』
『ビビってるに決まってるでしょ』と茶を飲むのに、こめかみが引き攣る。
自分の理屈や常識が通用せずただひたすら、一方的に苛立ちが募っていく。
ひどく懐かしくそれでいて、馴染み深い感覚。
『だけどビビってても事件は起こるし。しかももしかしたらまた本当に彼が関わってるのかもしれないし。だったらちゃんと食べて寝て、考えないと。仕事、しないと。』
「………」
それでもやはりどこか、違う。
『それに、さっきのは可能性の話です。しかも根拠は私の心証だけ。それに5年も前のたかだか一回のことを記憶してる人間なんて、そうそういませんよ。顔が割れてると決まったわけじゃない。』
がしかし
「俺は覚えてる。」
『……は「いや、正確には覚えていた、か。」
俺だってあの頃とは
「変わるモノなんだな、女ってのは。」
違う。
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