#13 紫蘭の花言葉
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見つめ続けていた写真から目を離し、濃い目に淹れられたコーヒーを嚥下する。
迎えにくるから、それまでここにいて。
力強い声とは正反対の表情が浮かんだ顔を思い出したら少しだけ、頬が緩んだ。
『狡噛さん』
唐突に沈黙を破って呼びかけるが、返ってきたのは静かな眼差し。
真正面から見つめ返し、口を開く。
『お兄ちゃんの口から、この男…[マキシマ]の名を聞いたことはありませんか?』
この人を、兄が信頼していたのは間違いない。
きっと最後まで刑事であろうと、自分であろうとしただろう兄が何かを託すとしたらこの人以外に、考えられない。
『何でもいいんです…何か……』
手にしていたカップを置いた狡噛さんが微かに目を細め、顎を引く。
「ある。」
やっぱり――
「……だが、どこから……お前はどこまで知ってる。どこまで、調べた。」
断定的な口調に『やっぱバレてましたか』と、小さく笑う。
「当たり前だ。」
『…………猟犬の嗅覚、ってヤツですか?』
からかうように問うとその目がまた微かに細くなりでも、さっきとはまるで違う表情を形作る。
そして
「そんなんじゃない。ただお前は佐々山の……アイツの妹だから。」
「きっとそうするだろうと思った」と続いた静かな声に自分もきっと、同じ様に。