#01 犯罪係数
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『………』
空の黒は、薄い。
髪を乱す、湿気を多分に含んだ風は撫でるように優しく、不快ではない。
一際高く天を突くタワーが光を纏って壮麗に輝く様を、ぼんやりと見やる。
この大都市の中で、どれほどの人々が生きているのだろうか。
死んで、いくのだろうか。
夜空の星は、わざわざ確かめてみる気にもならない。
この惑星の他のどの場所からも切り離されてしまっているかのような、この場所。
目を細めて首を傾げ、中身を転がして、透かし見る。
『……綺麗だね。』
浮いた言葉にも光って魅せる、その姿。
『ねえ、どう思う?』
目線の高さまで持ってきた、ボロボロの紙箱の中身は、一本。
あの時の、まま。
『………』
貴方の生きたこの街。
貴方が死んだ、この街。
『聞くのが少し、遅すぎたね…』
閉じた瞼の裏に残るネオンは、なかなか、消えなかった。
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