#13 紫蘭の花言葉
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「…5年前…だと……?」
目を見開いて呟いた狡噛さんが、勢いよく身を乗り出す。
「どこだ!扇島のどこで、奴を見た!!」
「こ、狡噛さん!落ち着いて下さい!!」
苦痛に歪む光ちゃんの顔を見て、慌てて立ち上がる。
「狡噛さん!!!」
喉が破れるんじゃないかと思うくらいの大声を出した瞬間、逞しい肩が打たれたように波打つ。
微かな掠れ声が薄い唇から盛れ、押し潰さんばかりに掴んでいた細い腕を、離す。
「……すまない……」
目の端に涙を滲ませて呆然としたまま首を振る光ちゃんの手に、触れる。
「光ちゃん…」
浅い呼吸にともすればこちらまでどうにかなってしまいそうな感覚を堪え、指先に力を込めた。
『…5年前………日本に来た時に一人で…扇島に……1番高い…橋の、ところで……』
握り締めている写真に落とされた両目にややあって、意思が戻り始める。
『話を…しましたその時…』
「……話……?」
常では考えられない程小さな呟きに、その顔が上がる。
『それから…』
狡噛さんが目を凝らした、そこに
『間違いありません。』
狭間に射した光を確かに、自分も。
『この男は今も、この街にいます。』