真剣な表情で眼鏡とクリーナーを手にした宜野座さんに、ジャケットを脱ぎ、部屋の隅へと向かう。



「…それでは事件に関しての詳しい説明を……何をしている佐々山。」



『あ、いやグリーンに元気がないんでお水を。』



「余計なことをするな。霧吹きの水で、また眼鏡が汚れてしまった。」



思わず手を止めて振り返り、目を瞬く。



『………』



「……これで良し。事件の説明を…おい狡噛。何故デスクでお湯を沸かしているのか説明しろ。」



「ああ？」



怪訝そうな顔を向ける狡噛さんを睨む宜野座さんを見て、唇を引き結ぶ。



「倉庫整理で体が冷えちまったんでコーヒーを淹れようと思ったんだが…佐々山、お前も飲むか？」



『――っあはい、すいません下さい。』



「ギノ、お前は？」



「コーヒーなら、廊下にコーヒーサーバがあるだろう。」



苛ただしげな口調を聞きながら、未だ持ったままだった霧吹きを定位置に戻す。



「ノンカフェインでは頭が冴えん。気にせず話を続けてくれ。」



カップとコーヒーをセットしながら、必死で堪える。



『……こ…狡噛さん、ブラ…クで良かったですよね。』



「ああ。」