#12 3GUNS
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後ろ手を振って出て行く青柳の背を見送り、押さえつけていた右手を放す。
『信じらんない
くぐもって聞こえていた声が、途端クリアになる。
ハゲたらどうしてくれるんですか、まだ痛いしっ』
がたっと椅子を立って喚くのに辟易しながらデスク上に手を伸ばそうとすると、肩甲骨の下辺りを軽い衝撃が襲った。
振り向いて、なんとも中途半端なその姿を見下ろす。
「……またやられたいのか?」
ハエの停まりそうな速度で繰り出された一撃を煙草を握ったままの右手で止めると、負けん気の強そうな顔がむっと顰められて反対を突き出す、が。
『~』
「………。」
『もう何この着ぐるみ腹立つっ!!』
華奢な身体全体を使って憤慨を露にし、両足のブーツから脱ぎにかかるのに漏れ出しそうになる笑いを堪えて背を向け、椅子を引く。
山積みになった資料の一番上の紙切れを手に取り、時計を見やる。
そういえばギノが管財課に行ってくると言って出ていったのは何時頃だったろうか。
青柳が来たのは確か日付が変わってすぐだった筈だ。
ふいにかかった『狡噛さん』と小さな声に、振り向く。
不本意そうに唇を尖らせる様があまりにサマになっていて瞬間、呆気にとられる。
「…なんだ。」
『………手が届かない。』
まるでそれがこっちのせいだと言わんばかりの口調。
ふっと零れたのはただの息なのか笑いなのか、自分でも判別が、つかなかった。
「後ろ向け。」