#01 犯罪係数
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「こないで…もう近寄らないで……もうやめて…」
水の流れる音を聞きながら、鼻を刺す臭いで満ちた闇を行く。
慣れるのがえらく早くなったもんだと、思いながら。
「もう…も、くんなよおおっ」
恐怖に見開かれた、その目。
見返しながら右腕を上げた時、背後から聞こえていた足音が止んだ。
「こ、狡噛さん……」
振り返って見た顔の中で、眉根が寄る。
「止めて下さい。」
小さく震えた声で紡がれる、言葉。
「お願いです、彼女は被害者で…」
無言で向けたドミネーターが青い光を放ちながら、その形態を変えていく。
<対象の脅威判定が更新されました。執行モード、リーサル・エリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除して下さい。>
下された裁きに、掠れた声が届く。
真っ直ぐに向けられる視線に応えて唇を動かしながら聞いた、風の音。
仰向けた視界の中で初めて逢った薄い色に、目を見開く。
「やめてえええええっ」
重力を味方に空を凪いだ細い足に腕を交差させた直後、脊髄を駆け抜けた、衝撃。
意思とは関係なく膝が折れるが、薄れいく意識の中予想した痛みは、いつまで経ってもやってこない。
『……っく…』
代わりに聞こえてきた短い苦鳴と感じた暖かさを最後に全てが、切れた。