#11 パンドラの箱
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薄紅色の浴衣が、よく似合っていた。
横座りになって夜空を見上げるその横顔は透き通るようで無性に煙草が、吸いたくなる。
『東京の夜景の方がもっとずっと、眩しいです。』
窓のないあの部屋で眠るようになってから、思い出すことさえ、なかった。
「………そうだったな。」
光を纏ったノナタワーを中心に飾り立てられ、煌びやかに輝く夜。
空の闇さえ薄めるその輝度の強さを自分は、どうにも好きになれなかった。
『キラキラしてて、すごく眩しい……なんか子どもの頃に買ってもらった玩具のアクセサリーみたいな。』
「……イミテーションってことか。」
『あの頃の私にとっては大事な宝物だったんです。』
大きな瞳がそれとは分からぬほど微かに、細くなる。
『狡噛さんも持ってました?そういうの。』
「……ああ。中身はビー玉とか死んだ貝の破片とか…土塗れのガラス片とか、だったけどな。」
『宝石箱って言うより、宝箱だ。』と呟いたその顔が、微笑む。
『素敵ですね。』
風に撫でられた細い髪を手櫛でなおしながら紡がれる言葉はそれと同じくらいに、もしかしたらそれ以上に、柔らかで
また
『開けっ放しの宝箱で中身はでも見てみたら実は、子どもの宝物しか入ってなくて、なんだ、って。』
苦しくなる。
『そんな感じです。』
もしかしたら、さっき以上に。