#11 パンドラの箱
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『え』と腰を浮かせた佐々山の向こうで片目を瞑ってみせた初老の親父は、一体何を勘違いしているのか。
湯のみを握った手に知らず力を込めながら、視線を落とした。
『お土産って…』
『しかもなんでウィンク……?』と笑い混じりに、不思議そうに呟いたその顔がこちらを向くまでにはなんとか、平静に。
「さぁな。」
『……狡噛さん?』
「なんだ。」
『………何か、怒ってます?』
「…俺が?誰に。」
隣から漂ってくる無防備な香りを追い出すように口をつけて初めて、その試みが失敗したことに気づく。
思わず横向けた顔に正面からぶつかってくる不満は多分あまりに、わかりやす過ぎて
『やっぱ怒ってんじゃないですか。』
近すぎて。
だから
『…あ、わかった!』
大げさに指を突きつけてくるのに、眉を顰める。
こんなに、苦しくなる。
こんなに
こんなに――
『ヤニ切れだっ』
「………。」
『…あれ?違いました?』