#11 パンドラの箱
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「何だ、もう上がってきたのか?」
一人部屋で呑気に茶をすするギノに、軽い脱力感を覚えながら敷居を跨ぐ。
「事件の捜査中だってのに、ゆっくりと湯になんか浸かってられるかよ。」
「そうだろうな。」
鼻を鳴らしたギノが机の上の菓子に伸ばした手を、止める。
響いた着信音に次いで立ち上がる、音声通信の画面。
「佐々山か…どうした?……何、女湯に覗き魔だと!?おい狡噛、行くぞ!」
「~了解、現場へ急行する。」
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『いやマジでいたんですってっ』
植え込みに突っ込んでいた顔を振り向け、衝立の陰から顔だけ出している佐々山を見やる。
「誰もいないぞ。いたような痕跡もない。」
『いや絶対いた!この、今巻いてるバスタオル賭けてもいいです!!』
「志恩みたいなことを言うな。ったく……待っててやるからさっさと服を着ろ。」
『はぁーい。』
その内に聞こえてきた、微かな音。
『にしてもここのお湯めっちゃ熱くなかったですかー?も肌が…うわだいじょぶかなコレ…見えない…鏡、鏡……狡噛さんへーきでした?……狡噛さん…?』
応えずにいると、ひょっと小さな顔が覗く。
『……逆上せました?』
優しい匂いを纏わりつかせた無邪気な笑みを掌で払って足に肘をつき、顔を埋める。
「…いーから、さっさとしてくれ。」