#10 Plastic Beautiful World
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『だから』
ファンの音を押し消すような声に、顔を上げる。
『大丈夫ですって。』
空中でかち合った視線を気まずげに逸らした佐々山監視官が、声を落とす。
『私と六合塚さんでやりますから。狡噛さんにもそう言って…とっくですよ。…いいえ、何も。でもそのまま先に仮眠とってもらうよう伝えました。はい……はーいー。』
『お休みなさい』と言って端末を操作したその顔が、こちらを向く。
『すみません六合塚さん。宜野座さんにも、先に休んでもらっちゃいます。』
「構いません。」
顎を引いて了承を示し、書きかけの報告書を仕上げるべくデスクに向き直る。
「アレじゃ、使い物にならないだろうし。」
揃ってこめかみを押さえるようにして出て行った男二人の背中を脳裏に浮かべながら、キーを叩く。
文章を連ねながらも、佐々山監視官がいたから良かったようなものの…と思わざるを得ない。
しかし
弥生~!
佐々山監視官、か。
微かな物音と空気の振動に気づいて振り返り、目を瞬く。
しゃがみ込んでケトルのコンセントを入れた細い後姿の向こうに並ぶ、二つのカップ。
パコッと、狭いところに密閉されていた空気の零れる音が耳に届いた瞬間香る、甘いけれど、どこか清廉な青い匂い。
ツインテールが跳ねて、揺れる。
とても
『アップルティー、好きですか?』
似合っていると思った。