#09 メビウスの輪
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『…ってことで、まあ総務の前上さんて人の子だったわけ。』
<んだよソレ、つっまんねえ落ちー。>
画面の中で脱力した縢くんに、『だよねー』と止めていた箸を再び動かす。
バイオうどんだかなんだか知らないが、意外と美味しい。
<っつかさ光ちゃん、いくら暇だからって非番中にかけてこないでくんない。>
『だって一人で食べるの嫌なんだもん。』
<もん、じゃねーよ。使うな、人を。>
眉を顰めるのに笑って謝ると何故か、気かんきの強そうな顔がさらにそれを増して背けられてしまった。
<まいーけど。……んじゃ後残り数時間せーぜー頑張ってくださいよ。>
『どーも。んじゃまた明日ね。』
通信を切り、小雨の振り出した窓外に目を向ける。
滲んでぼやけた摩天楼の輝きに思い出すのは、ここから約数千キロ程離れたとあるマンションから見た風景。
あの家はきっと、真っ暗だ。
静まり返った広い部屋。
きっと
ずっと。
いつも
真っ暗。
「ここ、いいか。」