#08 Bump
夢小説設定
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薄れ始めた闇が、その色を徐々に変え始める。
「………。」
助手席に座るその横顔に目をやり、戻す。
頑なに前を見据えたままの横顔に浮かぶ表情は厳しく、でもどこか脆そうに見えた。
だから、『宜野座さん』と呼びかけられてもすぐには反応できなくて。
『執行官と監視官の違いって…何ですか?』
恐らく答えの、分かっている問いかけに、目を閉じる。
「……サイコパスの犯罪係数が規定値を超えている者といない者、猟犬と主、人格破綻者と健常者……いくらでも言いようはある。」
息を吸い込んだ佐々山が、肘をついて窓外を見やる。
間にある距離は人一人分もない。
見ている景色も、同じ。
『同僚でも…同じ人間でも、[違う]ってことですよね。』
なのに何故こんなに遠く、感じるのだろう。
「理解できないこと、納得できないことはあって当然だ。だからこそ彼らは執行官、俺達は監視官なんだ。」
いっそここで、常守のように真っ向から挑んできてくれたなら。
『………はい。』
この奇妙な孤独感を感じずに、済んだのかもしれない。