#08 Bump
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エスカレーターに乗り込み、大型スクリーンの集まる6階へ。
あちこちに転がる死体や、その一歩手前の廃人の姿に眉を顰めつつ、足を動かす。
[theater 1]の表示の扉のドアの前に狡噛さんと向かい合う形で立ち、小さく顎を引いて中へと踏み込む背に続こうとした、次の瞬間
『――っ!』
背後の空気が縦に割られるのを感じ、咄嗟に横へ身を投げ出す。
踵を擦過したものの正体は、鉄パイプ。
淀んだ目に浮かぶ仄暗い光を見返し、ドミネーターを両手で構える。
<犯罪係数、オーバー160。執行対象です。>
無言で突っ込んでくる男が再び振り下ろした鉄パイプの軌道を見極め、床を蹴る。
指先に力を入れると同時に奔った青がその胸に直撃し、転倒させた。
「おい佐々――!」
走り出てきた狡噛さんが、眼光を鋭くする。
振り返りざまの蹴りを頚椎に受けた男を執行銃で狙撃する必要は多分、なかったろう。
銃口を下げてこちらを向いたその顔に浮かぶ表情に、口を開く。
『すみません。びっくりして声出ませんでした。』
正直にそう謝罪すると、はあと呆れたようなため息。
そのすぐ向こうの突き当りからのそりと現れた影に、やっぱり声は、出なかった。