#08 Bump
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「また廃棄区画だ…」と苦々しげな呟きに、先日の足立区の一件が蘇る。
監視官として関わった、最初の事件。
あれからもう、ほぼ一ヶ月経ったのかと思うと、信じられない。
花の二十代、もっと大事に美しく生きなければ。
「元々、この辺りは本仮屋重工業のドローン工場だった。しかし事故が起こり加えて化学汚染も発生…そのため廃棄区画となった。」
「化学汚染?」と薄気味悪そうに辺りを見回した縢くんの横で、狡噛さんは特に気にする風もなくカモフラージュ・ホロを施された装甲バンに目をやっている。
「安心しろ。大雑把ではあるが除染済みだ。人体に影響が出るほどじゃなくなってるそうだ。」
そう言ってひとつ息を吐いた宜野座さんからの情報送信を受けた執行官二人のバングルが、立ち上がる。
「数日前、巡査ドローンがヴィジュアル・ドラッグの中毒者を保護した。強力なやつが流行り始めているらしい。」
『アルコールもクスリもセックスも、ぜーんぶヴァーチャル。いくら利便性と安全性を追求したところで、使う人間の欲求は変わらないってゆーのに、いじらしいことですねぇ。』
「くっ」という音の出所を見やると、狡噛さんが珍しく純粋に楽しそうな笑みを浮かべていた。
「ちょい待ち光ちゃん?」
眉を顰めながらも口元が弧を描いている縢くんに、目を瞬く。
「酒と薬はいいとして、最後のまでヴァーチャルで済ましてると思われちゃあ「縢」
眼鏡を押し上げた宜野座さんが不愉快そうに目を伏せる。
「くだらない情報は要らない。二手に分かれて、ミッション、スタートだ。」