#08 Bump
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掌底を打ち込むたび、細かな汗が飛ぶ。
「…っ……」
軋むサンドバッグに関せず肘打ち、右、左と連続してストレート。
その動きが、刑事が会得すべき逮捕術の枠を遥かに超えているものであることは一目瞭然だろう。
相手を捕えるためのものではなく、斃すための戦闘術。
溜まってきた熱が最高点に達したところで床に両手をつき、一気に解放させるつもりで飛び蹴りを叩き込む。
深く息を吐き、ファンにかき回された生温い空気を連れて、冷蔵庫へ。
二口程口に含み、頭上に持っていったボトルを逆さまに傾ける。
髪の毛から身体へと流れ落ち、足元に溜まった水を蹴って資料部屋へ。
デスク上の壁に貼り付けられた大量の写真とメモを見やりながら、銜えた煙草に火を点ける。
その中心、ピントのぼけた人物像。
吹きかけた煙で曇ったそれに、指先の煙草を握りこむ。
じゅっと音をたてて消え失せた熱
残る、刺すような痛み。
「……」
沸き起こりかけた暗い衝動を霧散させたのは、来客を告げる軽い電子音だった。
濡れたままの髪をかき回し、開閉スイッチを押す。
「お、わおっ」
『わあっ、すいませんっ』
「………。」