#07 狂王子の帰還
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流した視線に映ったものに、舌を打つ。
「……何の話、してたんだろ?」
『さぁ?』
背中にかかる声を聞きながら、ドアをくぐる。
「おい!」
追いかける背が止まることはなく、やがてその自室に辿り着く。
一心不乱に分厚い捜査ファイルを捲り続ける姿に、口を開く。
「狡噛、お前は…」
何を言うべきか、ではなく何を言えば良いのかと、考えてしまった。
その事実に気づく前に、「ギノ」と声がかかる。
「同じだ、あの時と。ただ殺意を持て余していただけの人間に手段を与え、本当の殺人犯に仕立て上げている奴がいる。」
「……落ち着いて考えろ。あの時は特殊樹脂だが、今度はプログラムのクラッキングツールだ。全然違う。」
「技術屋と集選人がまた別なんだ!人を殺したがっている者と、そのための道具を作れる者とを引き合わせている奴がいる…そいつが本当の黒幕だ。」
「いい加減にしろ!お前はいるかどうかもわからない、幽霊を追いかけているんだ!!」
「佐々山は真実を突き止める寸前まで行った…」
目の前をちらつく影を射した瞳に宿る、激情。
こちらまで侵食されそうな、憎悪。
「あいつの無念を晴らす。そのための三年間だった……!」
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