#07 狂王子の帰還
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「御堂もソーシャルネットのマニアではあったが、公共のホロに干渉できるほど高度なハッキング技術はなかった。金原も御堂も、電脳犯罪のプロからバックアップを受けていたのは間違いない。」
デスクに向かいながら、会話の内容を察する。
「しかし、肝心の金原の供述がこれじゃあなあ。」
キーボードを操作した征陸さんによって流れ出した音声は初めて聞くものだったが、やはり。
<本当だ!ある日いきなりオレ宛に郵送されてきたっ>
ヒステリックな男の声に鼻白みながら、椅子を引く。
<送り主の手紙には名前もなくて、ただ、あの工場に恨みがあるから一緒にめちゃくちゃにしてやろうって!!>
「愉快犯…にしては悪質ですよね?」
「そもそも金原が殺人を犯すと、送り主はどうして予測できたんだ?」
最もな問いに思わず頷いた時、ため息混じりの低い声が前から飛んでくる。
「とっつあんも職員の定期健診記録だけで金原に的を絞ったんだ。同じマネをできる奴がいた…あの診断記録が部外非だったワケじゃない。」
『じゃあその人が金原を…御堂もか。手伝った動機は?』
こういう、順を追って論理的に何か疑問を解いていくのは、好きだ。
ジグソーパズルのピースを、探して全体を見出していく時のあの純粋な期待に満ちた高揚感に、少し似ているから。
「動機は金原と御堂にあった…奴はきっと、それだけで十分だったんだ。」
投げつけられるようにされたピースに、眉を寄せる。
「狡噛…?」
「殺意と手段…本来揃う筈のなかった二つを組み合わせ、新たに犯罪を想像する……それが奴の目的だ。」
立ち上がり、歩き去っていくその後姿に、目を、凝らした。