#07 狂王子の帰還
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「………」
掴んだ腕をゆっくりと、放す。
名残惜しげにしている掌を内心で、哂いながら。
「……休憩室は誰が入ってくるか分からない。」
こちらを見上げる瞳にまた目元が、痙攣するみたいに動く。
「あんな格好で寝るのは、お勧めしないな。」
これから長い勤務が始まると言うのに、すでに若干の疲れを訴えている両足に苦笑し、手を放す。
猟犬であって、番犬ではないのだ。
取り出した煙草を銜え、火を点ける。
一息吐く頃になってもまだ動こうとしない気配に顔を振り向けた瞬間。
つかつかとこちらに歩いてくるその顔に目を、瞬く。
肩にかけた鞄を押さえてデスクに屈み込んだその背が、窓の方へ行く。
「おい……?」
カラリと開かれた空へ放られた物体が、太陽を反射して、一瞬の光を放つ。
『お先に失礼します。』
ぺこりと頭を下げて去っていくのを、見送る。
まだ長い煙草を見てから、輝く窓外に、目を向けた。