#07 狂王子の帰還
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『――っ…』
身を起こした途端、下げたブラインドの向こうから差し込んでくる明かりに目を瞑る。
昨日の当直勤務は、あんなことがあった後だというのに容赦なく立て続けに2件。
しかも一件は真夜中の倉庫街を舞台に、係数180オーバーの殺人犯と延々追いかけっこ。
ちょっと走っただけで音を上げた縢くんの醜態を思い出し、苛立ちが蘇る。
六合塚さんがいてくれて、本当に良かった。
現在の時刻は15時ちょい過ぎ。
遅い来る睡魔に家まで帰れる気がせず、そのまま仮眠室…2時間ちょっとで目が覚めたのは、奇跡だ。
<おじさま!>
<クラリス!>
いつの間にかクライマックスを迎えようとしているホロを見つめながら、身を起こす。
『………』
その拍子に足から落ちた見覚えのあるカーキのコートを拾い上げた時、通路側のブラインドの向こうから、ノックの音が響いた。
ややあって入ってきた長身に目を見開き、思わず固まる。
昨日とは違い、しっかりプレスされたスーツを着込んだ顔に浮かぶ表情はしかし、大して変わらない。
『………お、疲れ様でー…す……』
無言は、止めて欲しい。
と思いながらとりあえず、投げ出していた足を、引き寄せた。