#07 狂王子の帰還
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その輪郭をなぞった指先の動きに
――……お兄ちゃん……?
微かに揺れたその声に目の前が、黒く塗り潰される。
そこに込められた、自分には到底真似できない人の想い方を
到底得られるわけもない想いは
もしかしたら、なんて、馬鹿でしかない錯覚を抱かせる、想いに。
振り向いた顔の中で見開かれた瞳に手を、伸ばす。
俺も
ガタンと派手な音をたてて机から転がり落ちた明かりを、蹴り飛ばす。
組み敷いた身体から伝わる熱に、目を、細めた。
『…こ…』
薄く浮かんだ恐怖に映る自分は、まるで
「………」
同じで。
『……狡噛さん……?』
掠れた声を聞きながらその髪に、顔を伏せる。
『…あの…こ、がみさん………?』
触れさせてくれれば
それだけでいい。
それだけで、いいから
応えて、くれさえすれば。
それだけで、いいから。