#07 狂王子の帰還
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あ、もしかしてお休み中でした?』
ドアの前で呆けたように立ち尽くすその顔に、微笑む。
「いや…」
我に返ったように小さく見張られた目が泳ぎ、通せんぼするようにされていた両手が、離れる。
「……何の用だ?」
後ろ髪をかいた手の中の短くなった煙草を見ながら、口を開く。
『征陸さんに聞いたら、さっき上がったばっかりだって言われて。もし良かったらお昼、どうですか?』
『一緒に?』と首を傾げる自分を見下ろすその出で立ちはまだ、Yシャツにスラックスのままだ。
『私、今日15時から第二当直なんですけど、ちょっと早く来すぎちゃって。』
スラスラと口にしながら、さり気無く、一歩踏み出す。
『朱ちゃんは明け、六合塚さんは唐之杜さんのところ…で、縢くんには、フられちゃって。』
物を食べるとか、寝るとか、そういった人間的な行為を想像するのが難しい人だと思っていたが、ややヨれたネクタイやハねた髪。
疲労の溜まってそうな目元に、笑ってしまった。
『一人でご飯食べるのは、あまり好きじゃなくて。』
本心が零れてしまったことにも、知らないフリができるくらいに。
「……ちょっと待ってろ。」
降ってきた言葉に返す間もなく、その背が室内へと戻っていく。
ややあって「入れ」と届く、声。
『……お邪魔しまーす。』