#07 狂王子の帰還
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「頑張っている様子じゃない。」
固さの中にも優しさを含ませた声に、口を開く。
「まだ経験が浅い分心得違いをしている部分も多々ありますが、両名とも優秀な人材なのは事実です。」
常守はもちろん、佐々山の推理力と判断力は、認めざるを得ない。
「将来的には有望かと。」
「そうあってくれれば良いが。」
こちらを見上げる視線に表情を変えず、見返す。
「君の同期生のような残念な結末に至る可能性も、決してゼロではない。」
「特に」とその目が向けられたデータの中で、どこか挑戦的な眼差しをぶつけてくる、見慣れた顔。
「……はい、局長。」
「君達監視官の仕事は過酷だ。多くの犯罪者、そして執行官達の歪んだ精神と直面してもなお、任務を遂行できる不屈の精神が必要なのだ。」
言葉を切った禾生局長が、目を伏せる。
「君とて油断は禁物だぞ、宜野座君。」
続く言葉を予想し、そう言えばアイツもそうなのかと、今になって思い当たる。
「犯罪係数と遺伝的資質の因果関係はまだ科学的に立証されたわけではない。」
これまでのその人生は、一体どのようなものだったのだろうか。
「だが裏を返せばまだ無関係だと証明されたわけでもない。…君が父親と同じ轍を踏むことのないよう、心から祈っているよ。」
「………肝に銘じておきます。」
分かるわけもないがそれでも多分、他人に同情や理解を求める性分ではないだろうと、思う。
今の自分と、同じように。