#06 誰も知らないあなたの顔
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開いたノートに書かれた名をなぞりながら、ソファに深く身を埋める。
監視官・宜野座伸元、 狡噛慎也
執行官・佐々山光留、内藤遼一、征陸智己
当時彼らが駆けずり回った廃棄区画、扇島。
5年前、興味本位で一人ふらりと足を運んだ、あの場所。
あそこで兄が出逢った一人の、少女。
艶やかな黒髪の少女の顔にはまだ、あどけなさが残っている。
『………何、話したんだろ………』
ぽつん、と静寂に浮き上がった声に膝を抱える。
緩やかに千切れてはまた差し込む、透明な月光をぼんやりと見ていた、その時。
『!?』
窓外の明かりに混じった銀色は瞬きの間に、消えている。
まるで疾走直後のように激しく上下する肩と、響く心音。
じっとりと汗をかいた身体を抱き締めるが、込み上げる恐怖が目を閉じることを許さない。
いずれ、また
ゆっくりと波打つ、碧の淵。
射し込む光の色を振り切ることが
出来ない。
『………っ。』
零れかけた嗚咽を無理矢理に、飲み込んだ。
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