#06 誰も知らないあなたの顔
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ここから見る景色はいつも、綺麗だ。
綺麗で少し、寂しい。
「今回、君は充分良くやった。」
感情のこもらない賛辞の形は少しだけ、それに似ていた。
「結局、犯人を突き止めたのは狡噛さんと…光ちゃんでした。あんな風に犯人の思考を把握し、予想するなんて…」
あんなことは、自分にはできない。
これから先のことはわからないが、できなかった、というそれは、今回の二人目の被害者を生み出してしまうことになった要因のひとつ。
それだけは、否定も肯定も要らない、ただの事実。
「それが執行官だ。犯罪者と同じ心理傾向を持っているからこそ、できることだ。」
「でも…狡噛さんは私のことを慰めてくれました、励ましてくれました。あの人が潜在犯だとしても、御堂みたいな殺人鬼と同じ心の持ち主だなんて…思えません。それに光ちゃんは……「あいつは」
感情に彩られた言葉に、顔を向ける。
ビル風に黒髪をなびかせるその横顔で閉じられていた目が、街を映す。
綺麗で
少し寂しい、世界を。
「……監視官は監視官としての役目だけを果たせ。執行官とは一線を引け。」
「それがこの仕事の鉄則、ですか?」
「いや、俺の経験則だ。」
「え?」
視線がややあって、逸らされる。
まるで逃げているみたいなその仕草はでも、何から。
――誰から。