第六章
夢小説設定
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三
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「母さんは、元気か。」
コーヒーを喉に流し込んでから、口を開く。
『元気だよ、普通に。』
「……親父は?」
『んー…どうだろ、元気なんじゃん?』
適当に返し、爪先を揃えて踵を浮かせ、空を仰ぐ。
考えたくなかった。
平気で他の誰かの匂いを纏わりつかせて帰ってくる父の事も
日に何度も色相チェックを繰り返す母の事も。
何も。
ただ今に身を委ねて、いたかった。
軽薄にすら思えるテンポで、浅薄にしか思えない言葉を返していく。
それがこの場には見合うように、思えたから。
…本当に?
違う
そうじゃない。
分かってる
そうじゃ、ない。
『ていうか九州ってさ、かなり暖かいんだね。初めて行ったけど。』
怖いのだ。
だからとにかく、紡ぐ。
何が怖いのかは分からない。
多分ほとんど、全部だと思う。
馬鹿みたいな話だけど本当に、全部。
全部――
「光」
名を呼ばれてその顔を振り仰いだ自分は今、一体どんな顔をしているのか。
笑ってる?
怒ってる?
泣きそう?
怒ってるってのは、ないと思う。
だからって笑ってても、それはそれで逆に危ない気もする。
だけどもし最後のだった場合、最悪。
どうせ、何もできないでしょ?
助けられないでしょ?
違う
そうじゃない。
違う
そうじゃなくて。
『何?』
傷つけたくないでしょ?
傷つきたく、ないでしょ?
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