第六章
夢小説設定
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二
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『さっきの人、同僚?』
無邪気に笑みを浮かべる妹の服装は何故か、ホロスーツ。
綺麗に整えられた髪が肩上で風に、揺れている。
「……なんでここにいんだよ。」
『別に?ただちょっとどんなんかなーって。』
『見に来ただけだよ』と缶コーヒーを傾けるのを、狐につままれたような思いで見つめる。
こんな風に笑うのを見たことなんて、喋ったことなんて、一度だって。
ない、筈なのに。
「……スーツなのは?」
『着てみたかっただけ。ホロコスなんてもう何年も買ったことなかったし…割と安いんだね。』
「………。」
『ねぇそんな事より。さっきの人、誰?』
瞳を輝かせて問うのに眉を寄せ、煙を吐く。
「上司だよ、じょーし。」
『へぇー…名前は何て言うの?』
「……知ってどーすんだよ、んなモン。」
『えだって、格好良かったから。』
思わず下げた目に映ったその顔に浮かぶ表情にほっと肩を下ろし、視線を戻す。
「…男の趣味わりぃな、お前。」
『え』
「俺の方がよっぽどいーだろが。」
『……鏡、見たことある?』
「たりめーだ、毎朝見てる。」
『気持ちが悪い。』
小さな呟きに、唇が歪むのが分かった。
「どーゆー意味だ、そりゃ。」
『言葉通りだよ。』
『気持ちが…』と繰り返されるのを最後まで聞かず、口からタバコを放す。
手の甲に触れた額は柔らかく、暖かだった。
それは
『った!』
もしも間違えたら、泣けてくるくらいに。
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