Prologue
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Prologue 1
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シビュラシステム――この社会を形作る、包括的生涯福祉支援システム。
心理状態、性格的傾向、趣味嗜好など、[ヒト]を人足らしめる全ての精神的特質を暴き出し、最適幸福を提示し、与える、この国の神の名。
誕生以降、その性能を上げ続けたシステムはついには人の心の在り方を解き明かし、善悪の判断すらも可能とするようになった。
"犯罪係数"と呼ばれる、個人が罪を犯す可能性を予測した値。
これが規定値を超えたものは"潜在犯"として社会から隔離・あるいは排除され、全ての犯罪は事前に防がれる。
何の瑕疵もない、美しく、安全で、完璧な社会。
求めずとも与えられる、最善。
物心つくようになった頃にはもうとっくに、こうだった。
この国は[完璧]なのだと教えられて育ち、実際そう、思ってもいた。
あの日までは。
もたらされた恩寵と引き換えにしたものは
見えない。
もうどこにも。
きっと
誰にも。
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