第八話
夢小説設定
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「…やはり天界軍は夜明けとともに攻め込んで来るのが定石でしょうね。」
地図に描かれた通路を眺めながら、灰皿を引き寄せる。
「だろうな。」
「ひと足先に発ちますかそれとも――」
「……突入の騒ぎに乗じて逃げ出すってか。」
「リスクは高いです。しかし軍はおそらく無駄に人員をかけてくるでしょうから、むしろ目を欺き易い。」
「確かにこっちは、たったの五人だからな。」
顔を上げると、火の点いていない煙草を銜えた捲簾と目が合う。
「何か?」
「……いや、いい。」
口元だけで笑うその様に再び、地図に目を戻した。
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『桜を……』
ぽつりと呟かれた言葉に、横向く。
眠る悟空を見やったままの焔珠が、少しだけ目を細めた。
『桜をね、見せてくれるって。』
いつからか重ねていた手と手はすでに、同じ温度になっている。
「……そうか。」
今になって聴こえ始めた想いはそれでも、小さくて。
『うん…』
肩に預けられた頭に目を伏せ、その瞳が見ているであろう方へ視線を戻す。
『見せてあげたい。』
握った手に、力を込める。
「ああ……」
余計な事を、言わないように。