第壱話
夢小説設定
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「え、焔珠!?」
『ああ二郎神殿、お久しぶりにございます。お元気でした?』
「あ、ああはい。焔珠様もお元気そうで……」
『こちらへはずいぶん御無沙汰でしたから。先ほど門衛の方も変なお顔をなさっていました…ああ、こちらは母から土産にと。』
供の者が差し出した箱を受け取る二郎神を見ながら、どうせ気まぐれだろうが、という言葉を飲みこむ。
「しかし良かった。もうこちらへはいらっしゃられぬのではないかと思っておりました故……」
『?』
首を傾げると、二郎神が「ははは」と笑った。
「いや、金蟬様も大分気にしておられるようでしたよ。菩薩はご存知の通りあんな方でしょう?それはもう言いたい放題散々にからかわれて……いや本当に良かった。」
『………あの、何のことでしょうか。』
「は?」
人の良さそうな笑みが、そのままで固まる。
『金蟬が、何を……観音様が?申し訳ございません、何のことだかさっぱり……』
呆けた顔で目を瞬かれ、なんだかいたたまれなくなって供の方を振り返ってみると、その顔にも同じような表情が浮かんでいた。
「……怒っていらっしゃったのではないのですか?」
『何を?』
「この間こちらへいらした時、金蟬様に何やら腹を立てられたご様子だったと控えていた侍従が申しておったのですが……」
『私が?』
「ええ、貴女様が。」
大きく頷いた二郎神に、再び供の者を振り返る。
「……なにやら、申し訳ございません。」
自分を通り越して向けられた謝罪に、二郎神が「いやいや、お互い苦労致しますな」と笑い、慌ててこちらに「申し訳ございません」と頭を下げた。