第六話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『全くどうしてああも軽薄なことばかり…』
言葉を濁した焔珠が、扉付近に転がっていた巻き物を手に取る。
口調は不快そのもの、だがその顔には微笑が浮かんでいた。
「……僕的には羨ましいななんて思っちゃうんですけどね。」
『まぁ珍しい、先生がそんなご冗談を言うなんて。』
「いやぁ言いたい事は言いますよ、冗談でも本気でも。」
不思議そうに首を傾げた焔珠に笑って「コーヒーで良いですか?」と聞くと、やや間をおいて『はい』と返事が返ってくる。
「そう言えば今日、午後から金蟬が来るんですよ。」
『あ、はい。』
「あれ知ってました?」
『今日の夜、悟空も連れて崑崙に行くことになっていて…あ、有難うございます。』
白衣を丁寧に畳む焔珠にカップを差し出し、その隣に座る。
「いえ。それで?」
『こちらで待たせていただいても良いでしょうか。お二人がお話している間は私が悟空と遊んでいますから。』
「ええ勿論構わないですけど…何ですかね、話って。」
湯気のたつコーヒーに口をつけた焔珠が目を伏せ、長い睫がその顔に影を落とす。
『……私は、聞いておりません…』
憂いを帯びた横顔に、知らず目を細める。
首筋を滑り落ちた黒髪が、わずかに覗いていた砂糖を思わせる白を隠した。
『先生?』
見上げてくる漆黒の双眸に、手を引いて立ち上がる。
「お代り、いります?」
『いえ、まだ…大丈夫です。』
困惑を滲ませた声を背で聞きながら、「ですよね、すみません」と口が勝手に動くに任せる。
指先に残る微かな暖かさを紛れさせてくれるものを、探した。