第壱話
夢小説設定
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『でも、花だってお育てになったことないでしょう?』
そう言うと、菓子に手を伸ばそうとしていた相手が眉を寄せてこちらを向いた。
「…お前もか。」
『ふふ、二郎神殿もそう仰ったのでしょ。皆思うことは同じね。』
憮然とした顔にもう一度笑い、湯を入れ替えようと腰を浮かせる。
『でも冗談ではなく。その御子はまだ幼いのでしょう?誰かがきちんと育ててあげなければ……』
「相応しい者に任せたさ。」
『と言うと?一体どなたに……』
温度を確かめたところではたと思いいたり、振り返って見たその顔に、目を見開く。
『無理でしょう。』
途端弾けた笑い声が、開け放した窓から先を争うようにして外へと流れていった。
「っとに失礼な奴だな。」
『………。』
少しだけ視線に力を込めて見てから、背を向ける。
『笑いごとではないでしょう?子を育てるなんて…「太陽みたい」
『え?』
「凄ェ口説き文句だと思わねぇか?」
上目遣いにこちらを窺う視線に、ややあってため息を吐く。
『玩具ではないのですよ。』
「誰が、誰の。」
『どちらも、貴女の。』
ゆっくりと弧を描いていく唇を見ながらもう一度ため息を吐き、急須を手に取った。
『名は……』
「あ?」
『いいえ、何も』と返しながら、久しぶりに会いに行ってみようかなと、思った。