第五話
夢小説設定
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『そのような事が……』
「ええ…」
我が事の様に苦しげに顔を歪めた焔珠の後ろを歩く捲簾が、ぐっと酒瓶をあおった。
「シカトはねえよなぁ。」
『何か事情がおありだったのでしょう。とても仲の良いお友達なようですから…』
「そちらも何かあったのでは?」
『え』と驚いたように目を見張るその様子に、苦笑する。
「貴女はわかりませんが、少なくとも金蟬は。」
『………子供の頃からこうなのです。あの人のせいですぐに嘘はバレるし秘密は秘密じゃなくなるし、姉上達の仲間には入れてもらえないし。』
それこそ小さな子供のように口を尖らせた横顔に浮かんだ表情に、胸が小さく軋む。
『あんなに大きくなっても、少しも変らないんだから。』
「でも、変わったでしょう?」
それでもその言葉が、口をついて出ていた。
『ええ。あの子のおかげで……』
「変わる前と今、お前としてはどっちの金蟬がいーわけ?」
『不変のものなどつまらないでしょう、飽きてしまうわ。』
振り向きざまに浮かんだ妖艶な微笑に目を瞬いた捲簾が、「そうか」と愉快そうに笑んでまた酒をあおる。
「今気付いたんですけど貴方達、何か少し似てますねぇ。」
『止めて下さい先生、冗談でも嫌です。』
「…言っていい事と悪い事があんだよこ――のっ」
「ちょ焔珠――」
突然腕にしがみついてきた柔らかな重さに、眼鏡が落ちかける。
『正直に言ったまでです、貴方と似ているなどと在り得ませんっ』
「てめ、焔珠っ!」