第五話
夢小説設定
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「チ……まったく何年生きてきたんだろうな俺は。」
『本当にね。』
「………。」
読んでいた巻き物を放り、和綴じの本に手を伸ばす。
「統括機関でまともに動いているのは軍部だけ、って事か。」
『必然的にそうなってしまうのでしょうね……治安は悪くなるばかりのようですし。』
『下界も』と呟いた焔珠の瞳が、すっと窄められる。
儚げな容姿に似合わないそんな表情は、久しく会っていない伯父を否応なく思い出させた。
「お前、そんな事まで知ってんのか。」
『いえ、知っているというか…数年前から、急に先生が御出陣なされる回数が増えたのです。それとなく聞いてみましたが、その時ははぐらかされてしまって。でもかなりの苦戦を強いられている御様子なのは見ていればわかりましたし。』
「…そこに、哪吒が現れた。」
『ええ。天界軍とはいえ[無殺生]の掟は破れませんから、太子はなくてはならない存在でしょうね……功績を上げ、権を維持するためには?』
「ふん、[不浄な者]…か。つまり李塔天はその父であるという立場を利用して、上層部に圧力をかけている……また間も良く出来たもんだな。……おい?」
『ええ、そうですね……本当に…』
浅く頷いて本に目を落とすのを見て、眉を寄せる。
暫くして名を呼ばれるまでが、とても長く感じられた。
「何だ。」
『闘神とは、どの様な存在か知っていますか?』
「あ?」
『闘神とは、代々不浄とされる存在が年少より育て上げられその座に就くもの。彼等の寿命は短く、死ねばすぐに次の[不浄な者]が後任に選ばれる…』
大きく揺れ動く藍色を見るうち、背筋が冷えていく。
『金蟬……』