第五話
夢小説設定
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「焔」
名を呼ばれて初めて、自分が顔を俯けていたことに気付いた。
「おせえよ、早く来い。」
『はい…あの、金ぜ――』
やや乱暴に手をとられ、慌てて足を踏み出す。
『お、怒ってる?』
「誰が、誰を。」
『金蟬が、私を?』
「何で俺が、お前に腹を立てなきゃならん。」
『知っていたのに、言わなかったから。』
足を止めてこちらを見つめた金蟬がややあって瞑目し、息を吐く。
「お前は判りたいと思ったから、知ろうとした……俺はしなかった。」
『………』
「そういうことだろう。」
『そういうことに……なります、か?』
「知らねえよ、自分のことだろ。」
呆れたように言って歩き出した金蟬の足元に柔らかな色を見つけ、声を上げる。
「何だよ。」
『今度、悟空を連れて崑崙に来ない?こちらではもう綿毛が多いけど、私の部屋からはまだ一面黄金色なのが見えるの。』
「いい。」
『そう言わずに。悟空に見せてあげたいんだもの……ねぇ!』
その背に手を、伸ばしたつもりだったのだが。
飛び込んだ先は懐かしい香りがするのに、なぜかとても居心地が悪くて。
「………悟空だけ連れてきゃいいだろ。」
なのに慎重な手つきで身体を離された途端感じたのは、紛れもなく淋しさだった。
「行くぞ。」
『………はい。』