第五話
夢小説設定
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「捲簾が軍大将を解任された…!?」
「ま、未遂だがな。天蓬が直訴して取り下げさせたらしい。」
書類に目を落としながら言う観音に口を開くが、何も出てこない。
「天蓬は立場的に李塔天より一段上だからな。」
「………」
「しかし今や哪吒の権威を傘に来てのさばっている李塔天の事だ、ただでは起きんだろうな。」
――喰えない男です
「俺は何も聞かされていない。」
「話す程の事でもなかったんだろ。」
「何も知らんのは、俺だけか。」
隣に立つ焔珠の目が一点を見据えたまま動かないのを見て、知らず、拳に力が籠る。
「……上層部の動きも軍の内情も知らねぇ、まるでカヤの外だ。」
自分の身体を食い破って飛び出しそうなこの感情が何なのか、わからない。
わからないことがまた、それを煽って、嗾ける。
「――胸クソ悪ィ」
じっとこちらを見ていた観音が徐に視線を逸らし、持っていた書類を放った。
「……ガキ。」
「ッ!!」
「知ろうとしなきゃ判らん事もある。見て見ぬフリもできるがな。」
立ち上がる前の一瞬。
その顔にいつか見た表情が、また。
「誰かに教えてもらわなきゃ字の読み書きもできん子供じゃねぇだろ、何年生きてきたんだお前は。」
髪を掬ってこちらを見上げる薄紫の瞳に、目を見開く。
「…お前はあのチビの、[太陽]でいられるか?」