第四話
夢小説設定
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「痛っ」
顔を顰めた先生に構わず絆創膏に手を伸ばす。
「もっと優しくしてくれませんか、焔珠。」
『これ以上は難しいです。』
「だからさ、男なら誰でも咄嗟に拳が出ちまうことあんだよ。っつーかお前だってさっき『あれは正当防衛です。』
「お、何描いてんだ悟空」と言いながら背を向けた捲簾から目を戻し、切れた口の端に指をおいた。
「何か、されちゃいました?」
『いえ、まぁその……そんな事より先生あの本…唐詩もあったから驚いてしまって。お好きだったでしょう?』
「ああ…あれは、いいんです。また借りてくればいいし。」
悪戯っぽい笑みを浮かべたその顔が、捲簾と笑い合う悟空の方を向く。
「金蟬には内緒にしておくよう言おうと思います。心配かけますからね。」
『お好きに。』
「………もしかして、怒ってます?」
『いいえ』と首を振り、薬箱の蓋を閉める。
『李塔天とは、元は文官の出なのでしょう?そのような者が軍の人事にまで口を挟めるようになるとは…闘神という存在が貴重だというのはわかりますが……貴重だなどと、私の言い方も良くないですね。』
自分の言葉に嫌悪を感じて眉を寄せると、名を呼ばれた。
「伯父上のこともあるでしょうが、あまり首を突っ込まない方が良い。本来貴女は、我々軍人などと関わるべき方ではないのですから。」
『それは――
その顔を見た瞬間、かっとなって声を高くしたことを後悔し、俯く。
「心配なんです。」
『…………私も、心配しました…とても。』
暖かな手が髪に触れ、涙線が緩む。
「では、気をつけることにしましょう。…お互いに。」
頷くことしか、できなかった。