第四話
夢小説設定
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「……なる者共が下界を騒がせているとの報が入った。看過することは我らの威信にも関わることになろう、ついては――」
周囲の視線が自分に集まることに気付きながら、目を伏せる。
「哪吒太子率いる軍に出陣を命ずる。よいな?」
「………は…」
「――お待ち下さい。」
よく通る声に振り返ると、左右に割れた人垣から一人の男が進み出てくるのが見えた。
「――誰だ?」
「西方軍、西海竜王配下軍大将・捲簾と申します。」
軍服の裾を翻して拳を地につけた男に、天帝が不快そうに眉根を寄せる。
「その軍大将が何用か?」
「畏れながら申し上げます。お見受けしたところ、哪吒太子は先の牛魔王討伐の折りに負われた傷が未だ完治されていない御様子。」
思い出すのに時間がかかったのは、男の顔に浮かぶ表情が以前見かけた時のものとあまりに違っていたためだ。
顔を上げたその眼には、刺すような光が映っている。
「此度の出陣、我が軍に拝命賜りますようお願い申し上げます。」
「何を…!!」
途端周囲がざわめき、場の空気が不穏なものになってゆく。
「一介の軍人ふぜいが差し出た真似を…貴様ごときに哪吒の代わりが務まるとでも思っているのか。」
「少なくとも、蓑に隠れて無傷で帰ってくる様な輩よりはマシだと自負しておりますが。」
「な…ッ!!」
「何が言いたい、捲簾大将…!!」
「無礼な…!!」
涼しい顔で怒声を聞き流す男から、目が離せない。
ふいにこちらを向いた切れ長の眼が一瞬だけ、微かに、細められた。