第参話
夢小説設定
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前と空を交互に見ながら駆けるが、ボールは緩やかな弧を描き続ける。
「――――ってどこまで飛ぶんだよ!?」
「捲簾ー足止まってますよー。」
笑い混じりのその声に舌を打った時、ようやく先の草はらでボールが弾むのが見えた。
「……っと!」
伸ばした手にボールが上手いこと入ってきたのに息を吐いた途端膝が折れ、胸に下げた髑髏がガシャンと派手な音をたてた。
「ヤーべ体力落ちたなー」
暫くして段々呼吸が落ち着いてきた頃、近づいてきた軽い足音に振り返る。
『捲簾殿!』
艶やかな黒髪をなびかせながら走り寄ってきた焔珠が、申し訳なさそうに眉を下げた。
『ごめんなさい、まさかこんなに飛ぶとは…』
「やー見事な場外でしたね!こりゃ天界のイチローの座は姫にお譲りしなきゃなあーなんて。あ…イチロー、分かります?」
喋りすぎたかと思って後悔した瞬間弾けた笑い声に、目を瞬く。
『ごめんなさい……今度は、捲簾殿が打って下さい。イチローの座に誰がつくかは、それから決めることに致しましょう?』
見上げてくる邪気のない瞳から目を逸らし、頭を掻く。
「殿、ねぇ…。」
『え?』
「捲簾でいーから、普通に。落ち着かねえし………スミマセン調子に乗りました。」
下げた頭に、くすりと笑い声が降りかかる。
『では私のことも、焔珠と呼んでいただけますか?』
「……マ…良いのですか?」
『あと話し方も。折角名前で呼んでいただけるのですから。捲簾の言葉で、お話して下さい。』
「……マジで?」
『そんな感じで。』
頬を緩めて頷いたその顔を見て無性に煙草が、吸いたくなった。