序
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「宴を外れて手酌ですか?」
閉じていた目を開けると、ヒラヒラと舞う花びらと似たような笑みがこちらを見上げていた。
「お前か…」
「可哀相に、部下の方々が必死で貴方を捜していましたよ。」
「勘弁してくれよーヒヒ爺どもに愛想振り撒きながら酒呑みたかねっての。」
「…否定はしませんが、御老体は敬わないと。あれでも一応上級神の方々なんですからね“捲簾大将”?」
「そーゆーお前だってこんな処で油売ってていいのか“天蓬元帥”。大将の不在となれば副官の出番だろ?」
「嫌ですね♡面倒臭い。」
「あそ…」
遠くから流れてくる、老いた笑い声と耳に絡むような嬌声を風景から無理矢理締め出し、幹に背を預ける。
淡い甘さを含んだ風が、髪を撫でていく。
「――花はいいぜ、女もいいがな。でもって旨い酒とくれば、それだけで充分じゃねェか。」
そう言うと男は少し、笑ったようだった。
「捲簾…貴方は、死に等しいほどの退屈を感じたことなどないのでしょうね。」
「何だそりゃ。」
「一人知ってるんですよ。」
そう言って心地良さそうに一度瞳を閉じ、辺りを見回すようにゆっくりと頭を巡らせる。
「花を愛でることも、人と触れ合うことも…酒を楽しむことも知らない、不機嫌な表情の男をね。」
「…ふーん、つまんねェ奴。」
「同感です。」
「……呑む?」
下げていた酒瓶を振ってそう問うと、嬉しそうな笑みが返ってくる。
「ええ、是非。」