第弐話
夢小説設定
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『太子のお父上とお母上は何処ですかと聞いているのです。』
もう何回目かになる問いに、侍女が困り果てたように眉を下げる。
「ですから、李塔天様は天帝城に…奥方様はご自身が伏せっておいでなのです。」
『自分の子の意識が戻らないのですよ!?這ってでも――
肩に置かれた手に振り返り、言葉を切る。
「何やってんだ。」
『………。』
顔を戻して黙り込むと、首の後ろにため息が降ってきた。
「金蟬様があの御子の保護者だとは存じ上げませんでした。」
そう言って頭を下げた侍従に指示されたのか、去っていく細い後ろ姿を見やりながら悪い事をしたなと、申し訳ない気分になる。
「保護者じゃねぇよ、飼い主だ。」
「三の姫様にも申し訳ございません、このような処に……」
『良いのです。ただ、李塔天殿がお戻りになられた際には…』
言いかけ、思い直して口を噤む。
『当然でしょうね……親であれば。差し出がましい事を申しました、忘れて下さい。』
「邪魔したな、連れて帰る。」
背を押されて歩き出して暫くしてからその意味にやっと気づき、眉を上げて隣を見る。
『どういう意味ですか!』
「そのまんまの意味だ。――おい猿!!勝手にウロウロするんじゃ……」
扉を開けた金蟬の後ろから中を覗きこみ、口元に手をやる。
「………動物が2匹――か…」
『とても気持ち良さそう。』
振り返った金蟬の顔に、久しぶりに見る表情が浮かぶ。
「……何笑ってやがる。」
似合わないなと、改めて思った。