第弐話
夢小説設定
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くいくいと袖を引かれた女が、艶やかな衣装の裾が地に着くのにも頓着せず腰を折る。
『哪吒…って、哪吒太子の事?』
「うん!友だちなんだけど、俺まだ名前教えてないんだ。」
『そう、それは早くお会いしなければね。だけど確か…太子は今……』
突然その目がこちらを向き、胸が大きく脈打った。
『大将殿はご存知ですか?』
長い漆黒の睫毛の陰りがかかった大きな瞳はさらに深く色濃く、光が射す度そこに不思議な彩りが浮かんでは、消えていく。
つい見入ってしまいそうになるのを制して、顔を下げた。
「太子は今、牛魔王討伐の任に着いておられます。そちらの御子にも言いましたが恐らくは今日明日にはご帰還なさ「――捲簾大将!!」
視線を自分の背後に向けた部下の顔がなんとか落ち着きを取り戻すまで、多分40秒はかかったと思う。
「なっ…哪吒太子が牛魔王討伐から戻って参りました!!」
「おう」
「え、本当!?」
弾んだ声に一度振り返り、眉を上げる。
「行くか?」
「うんっ」
「如何いたしますか?」
『あ、えっ!?』
小さく狼狽するその様にこっちまでやや動揺し、煙草を指で弄ぶ。
「あ、ええと…俺、いや自分が連れ…お連れした方が良いかと。」
「あの、大将…」
寄ってきた部下に救われたような思いで腰を上げ、目で問いかける。
「討伐には成功したらしいのですが、少々手こずったらしく――」
ややあって振り返って見た顔には、そっくり同じ表情が浮かんでいた。