第弐話
夢小説設定
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「――ホラよ」
「何だコレは。」
「遅れてた書類だ。こっちはあの猿が来て以来、休む暇もねえよ。」
「こんな仕事他の奴に廻せってんだ」と恨みがましく言って腰掛けると、机を挟んだ向こうの顔に笑みが浮かぶ。
「…楽しそーじゃねェか。」
「ざけんな、人に面倒なモン押し付けやがって。」
「の割にはいいオトーサンしてるじゃねーの?」
面白がるような声音に舌打ちをしかけ、呑みこむ。
「――そんなことより…西方軍元帥の天蓬という男を知ってるか?」
「ああ…あの変わり者と名高いキレイな顔の兄ちゃんな。――奴がどうした?」
「天界軍上層部の動きに不信を抱いている。頭のキレる男だ、後々上層部にとって危険な存在かもしれん。」
「…お前さんの友人なんだろ?そんなこと俺にチクっていいわけ。」
「あんただから言うんだ。……上が何を考えてるかは軍とは関係のない俺の耳には入ってこない。だが、ここ最近の不穏な動きは火を見るより明らかだ。」
「…残念だが、俺にも知らないことがあるんでね。今の時点では何とも言えねぇな。ただ――」
「ただ?」
「どうせロクなことじゃねぇだろうさ。」
唇は優美な弧を描いてはいるが、こちらを見るその眼は少しも笑っていない。
「ま、俺も天界では一責任者だ。飼い犬の躾には気をつけるよ。」
「――ああ。」
踵を返しかけた観音の視線が、机の端の方を見て止まる。
「これは?」
小さな瓶の中で密やかに息をする、淡い色。
「…あの猿が勝手に飾ったんだよ。その辺で摘んできたんだろ。」
水を替えないとなと、思った。