第弐話
夢小説設定
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「悟空――ですか、良い名前ですね。」
中庭の方を見ていた天蓬が、唐突にそう言って目を細めた。
「“空”――目には見えぬものを、“悟る”ことのできる者だと。」
「ふん…うるせぇよ。」
悟空と焔珠の笑い声と良い風が、一緒になって室内に入ってくる。
「お前の軍にも一人いるんだろ、手のかかるのが。」
「あーいますねェ…あの子に比べて図体はでかいですけど。」
「捲簾とか言ったな。その辺の闘神なんかより余程腕が立つと聞くが。」
「好き勝手やってるクセしてそれなりに頭がキレますからね、その分敵は多い。」
「軍の上層部にも煙たがられてるらしいな。」
柔和な面ざしに似合わない色がその眼の中に踊り、紫煙がたゆたう。
そんな顔をすると、別人のように見えた。
「それは上層部になにかやましいことでもあるからなんじゃないですか?」
「…気付いていたのか。」
「それなりに。ここ最近の出陣の多さには作為的なものすら感じますね。」
たたっと軽い足音がした後、長い黒髪が窓外を行き過ぎようとして止まる。
「戦もない、死さえも存在しないこの天界で、下界の治安と秩序を乱す輩を討伐する為だけに軍は造られた。…僕は確かに下界の戦国史には興味がありますけど、戦とは本来、自分の理念を貫く為のものですよ。――って貴方に愚痴っても仕方ありませんね…出直してきます。」
「…天蓬」
「はい?」
「元帥は大将より階級が上の筈だ。何故今あえて副官に甘んじている?」
「…目立つのが苦手なんですよ。」
冗談めかして言うその顔に眉を上げると、にこりと微笑まれる。
「焔珠に先に帰りますと伝えて下さい。あ、あと白衣いつもすみませんて。――じゃ。」
「………ああ。」