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げほげほと咽ながら体を丸めた捲簾に、驚いて竿から目を離す。
『そんな恰好でお吸いになるからそうなるのでしょう、もう!大丈夫ですか!?』
「…る…せェな!!」
大口を開けて振り向いた顔に、思わず笑ってしまう。
『涙目ですよ。』
「~!!」
尚も咳込み続ける捲簾から、対岸へと顔を向ける。
野の花を巡る蝶の乗る風が、花霞の香りをこちらまで連れてくる。
今ここに在る事にどんな意味があろうとなかろうと、何をそう思い煩う必要があるだろう。
生きている。
ただ、それだけだ。
「お前はどうなんだよ。」
目尻を拭った捲簾が、竿に手を伸ばす。
『楽しいですよ、それなりに。』
「それなりかよ。」
『ええ、でも、満足できて笑えるくらいにはまだまだ足りないかしら。』
『死ぬ時に』
「…死ぬ時に?」
その目を見返すと、同じような表情を浮かべていた顔が唐突に綻ぶ。
『何?』
「いや?」
喉の奥で笑うその姿を見て、知らず眉間に皺が寄る。
『何――「竿!!」
『え、きゃあっ!?』
「馬――放すな落ち着けっ!!」