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『あれで、少しはマシになった方なのですよ。』
おっかなびっくりといった様子で垂れた竿の先を凝視していた焔珠がふいに口を開き、こちらに顔を向けた。
「マシって、金蝉?」
こくりと頷くと、また視線を水面に戻す。
『小さい頃はまだ子どもらしく外で一緒に遊んでいたんだけれど、私も崑崙から出られない時期があったりして…また会えるようになったのは成人してからだったでしょうか……それからずっとあんな調子で。』
「んなずっと見てなくても平気だから。」
川岸に竿を突き立てて横になると、大きな瞳が驚いたように瞬く。
「で?」
煙草に火を点けて寝がえりをうつと、焔珠が目を細めた。
「何?」
何に笑ったのかがわからずそう問えば、『いいえ』とおかしそうにはぐらかされてしまう。
『いつも退屈そうな顔をしていたわ。わざわざ会いに行ってあんな顔をされると、私もさすがに少し腹が立ちました。』
誰もが美しいと褒めそやす黒髪が、野の花を揺らす風になびく。
――貴方は、死に等しいほどの退屈を感じたことなどないのでしょうね
「ま、つまるつまんねぇなんてのは気分次第だからな。」
『つまり、自分次第?』
笑みを含んだ眼差しを受け流し、空箱を弄ぶ。
「そ、楽しんだモン勝ちってコト。」
『貴方みたいに?』
「んな楽しそーに見える?」
見上げた横顔に浮かぶ、噎せ返る程の香り。
『ええ、とても。』